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ホームシアター専門誌ホームシアターファイルにてシアターハウスを特集いただきました

ホームシアター専門誌ホームシアターファイル Vol.84にてシアターハウスをご紹介いただきました。

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福井発の大画面伝道師「シアターハウス」のものづくり哲学

自由にサイズをオーダーでき、手頃な価格も人気の「シアターハウス」。福井で製造販売を行う同社のものづくりの現場に潜入。
同社スクリーンを支えているのは、熟練職人の技と大画面に対する愛情だった。

家業の機屋の技術を生かしてスクリーン専業メーカーに

シアターハウスは、福井市内でスクリーンの製造販売を行う専業メーカーだ。創業してから20年足らずとまだ新しい会社だが、ホームシアター市場の黎明期に、手頃な価格のスクリーンを直販するという当時にしては珍しい手法でホームシアターファンを驚かせ、スクリーン直販ではトップの地位を築いている。

そもそも、糸を布地にする「旗屋(はたや)」の2代目だった吉村さんがスクリーンを製造するようになったのは2001年のこと。友人の家で見せてもらったスクリーンに映る大画面の映像に感動。自宅でも観たくなり、中古のプロジェクターを購入したが、スクリーンを買う余裕がなく、そこで自分でつくってしまおうと考えた。幸い家業は機屋。布や布に関するノウハウは山ほどあった。工房にあった余り布を使って掛け軸状に仕立てた幕面は満足のいく出来映えで「ひょっとしたらほかにもほしいと思う人がいるかもしれない」とオークションに出品しはじめたことが、起業につながったのである。

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いままでにない斬新な発送で新風を吹き込む異色のブランド

以降、吉村さんは「ユーザーの希望に沿い、できる限りのサービスを提供していきたい」という思いから、誰もがあっと驚く製品を開発し続けてきた。世界初の両面スクリーンも然り、明るい場所でも鮮明に見えるマルチパネルスクリーンも然りだ。また、ビスタやシネスコなどのさまざまなアスペクト比に対応するハイブリット型電動スクリーンがヒットしたことも記憶に新しい。潜在的ニーズを巧みにすくい取り、ありそうでなかった斬新な発送が業界とユーザーに新風を吹き込んだ。

時代の流れに敏感な吉村さんだからこそ、4K時代への進化にも敏感だった。2012年には4Kプロジェクターの高精細映像に対応するため、投写光を拡散するためのシボ加工を施した幕面を繊維メーカーと開発。完全な平面だと画素の境界部分がにじむことがあるが、微細な凹凸を与えることで映像にキレとコントラストが生まれるのだという。いまではすべてのラインアップにシボ加工が施された原反を採用している。

シアターハウス工場に潜入そのものづくりの現場とは?

このように、ユーザーニーズを的確に捉えてきたシアターハウスだが、今回はなんと、同社のものづくりの現場に潜入することができた。JR福井駅から車で約20分、福井市郊外の住宅地の一角に、ガルバリウム剛板で仕上げられたモダンな建物が見えてくる。シアターハウスの事務所と工場だ。

まず入って驚くのがアットホームで開放感にあふれる雰囲気だ。窓が多く、心地よい日差しが差し込んでくるばかりでなく、天井高が高いことも開放感の高さの一因だろう。工場内はスクリーンを製作するセクションとカスタマーサービスのセクションとが緩やかにわけられており、互いに声をかければ届く距離だ。

従業員は全部で8人。そのうち3人がスクリーンの製作に携わっており、2ラインにわかれて、卓球台を大きくしたような台の上で伸び伸びと作業している。

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シアターの裾野を広げて大画面愛好家を増やしたい

職人たちが丹精込め一本ずつハンドメイド

シアターハウスのスクリーンの製造工程を簡単に紹介しよう。詳しくは75ページの写真とキャプションも参照してほしい。
まず、最初に幕面のベースとなる原反の検査を行い、次に注文通りの寸法に幕面を裁断。
一般的なサイズのスクリーンではこの後に巻き込みの作業に移るが、150インチ以上の高さのあるサイズを特注で受けた場合、原反を上下に2枚重ねて継ぎ目なく縫製する「継ぎ足し」作業に移る。両面テープで仮留めし、わずか3mmの隙間を生地の端から端までゆっくりと縫っていく。コンマ数mmでもずれると、幕面にしわができるので失敗は許されない。継ぎ足し作業は、この道16年のベテラン、上田恭子さんにしかできない。まさに職人技だ。

次は、幕面の上にパイプを、下にウェイトバーを巻き込む作業。その後、ケースに組み込んだら完成だ。
できあがったスクリーンは天井に吊るして、フレアや汚れがないか、電動の場合はスムーズに動くかどうか、検査に万全を期している。こうした徹底した品質管理が、数年使用しても0.1%を切るという故障率の低さに?がっているのだろう。

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直販制にはユーザーの声がダイレクトに伝わるメリットも

実際に製作現場を見学すると、シアターハウスがなぜユーザーのニーズを的確に捉えることができるのか、すぐに理解できる。
インターネットでの直販制を採用しているため、ユーザーの要望がダイレクトに伝わるのだ。
また、カスタマーサービスのセクションと製作のセクションがシームレスにつながっている工場のレイアウトも功を奏している。カスタマーサポートスタッフがユーザーから受けた注文や要望を、職人は同じ空間のなかで聞くことができるからだ。

「ユーザーを応援してあげたいから、弊社は特注が多いんですよ。210cmの幅があったら、208cmのスクリーンを入れたいという人は多い。だから、弊社は特注であっても、一部を除いてサイズに応じた価格設定にしています」と吉村さんは語る。

ユーザーを応援する姿勢は、ほかのサービスにも一貫している。一般製品は注文から1~2日後には出荷し、送料は無料。汚れても商品価格の3割で張り替えに対応するという。
直販だから流通コストを抑えられていることもあるが、なぜシアターハウスはここまでリーズナブルな価格で製品を提供しているのだろうか。
「ホームシアターが好きな仲間のために、仲間が求めるスクリーンを提供してあげたいという気持ちがあるからです。だって、あなたの周りにもスクリーンを持っている人はあまりいないでしょう?大画面のある暮らしをもっと普及させていきたいんですよ」と力強く語ってくれた。
スクリーンの普及に向けて熱意を持って語る吉村さんの真摯な眼差しに、胸を打たれれるとともに、吉村さんがいる限り、ホームシアターの未来は明るいに違いないと感じた。

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